浸水被害で受けられる公的支援一覧
床下浸水・床上浸水で変わる支援の違い
浸水被害で受けられる公的支援は、床下浸水と床上浸水で天と地ほどの差があります。ただし、公的支援の多くは大規模災害で法律が適用された場合に限られ、被害の程度も相当でないと対象になりません。この記事では「自分はどの支援が使えるのか」を判断できるよう、被害の程度ごとの支援内容を水害復旧の専門業者が正直にまとめました。
❶ 公的支援の多くは大規模災害で法律が適用された場合に限られる
❷ 床上浸水なら34〜300万円の支援。ただし300万は家が流されるレベルの話
❸ 床下浸水は国の主要制度がほぼ対象外。雑損控除・見舞金が頼り
❹ 火災保険と公的支援は併用OK。公的支援がダメでも保険は使える可能性あり
床下浸水と床上浸水で支援はこんなに違う
まず結論から。床下浸水と床上浸水では、受けられる公的支援に圧倒的な差があります。
現場の実感として、床上浸水の多くは「半壊」〜「大規模半壊」の認定になります。「全壊」で最大300万円と聞くとすごそうですが、全壊は1階の天井近くまで水が来たり、家が流されるレベル。一般的な床上浸水ではかなり稀です。また、これらの支援制度はいつでも使えるわけではなく、大規模災害で法律が適用されたときだけ。小規模な浸水では制度自体が使えないこともあります。
この記事を読めば、自分の被害がどの区分にあたり、どの制度が使えるのかがわかります。公的支援だけに頼らず、火災保険の活用も重要です。火災保険は災害の規模に関係なく、保険契約に基づいて保険金が支払われます。
以下の表で、制度ごとの対象可否を一覧にまとめました。
最大300万円
最大70.6万円
自治体
による
自治体
による
1〜10万円程度
自治体
による
条件
あり
ご覧の通り、床上浸水はほぼすべての支援が受けられるのに対し、床下浸水は国の主要制度がほぼ対象外です。ただし、床下浸水でもゼロではありません。使える可能性のある制度を後ほど詳しく解説します。
床上浸水で受けられる公的支援
床上浸水の場合、罹災証明書の被害認定区分によって受けられる支援の内容と金額が変わります。
① 被災者生活再建支援金
大規模災害時に被災者の生活再建を支援するための制度です。被災者生活再建支援法が適用された災害で、罹災証明書の被害認定に応じて支給されます。浸水の高さによって被害区分が変わり、もらえる金額に大きな差が出ます。
以下で紹介する支援制度は、災害の規模が一定以上で「被災者生活再建支援法」や「災害救助法」が適用されて初めて使える制度です。小規模な浸水被害では法律が適用されず、制度自体が利用できないケースもあります。お住まいの地域に法律が適用されているかは、自治体のWebサイトや窓口で確認してください。
対象外
※浸水の高さは床面からの高さ。上記は木造2階建て住宅で水流等による一定程度の損傷がある場合の内閣府基準。
私たちが復旧作業に入る現場では、床上浸水の被害認定は「半壊」か「大規模半壊」がほとんどです。「全壊」は1階の天井付近(1.8m以上)まで浸水したケースで、一般的な床上浸水ではかなり稀。つまり再建支援金だけでいえば現実的には0〜250万円の範囲。ここに応急修理制度(最大70.6万円)や義援金、税減免が上乗せされます。
また注意したいのが、床上50cm未満の「半壊」は再建支援金の対象外だということ。半壊でも応急修理制度(最大70.6万円)は使えますが、再建支援金はもらえません。
※加算支援金は再建方法(建設・購入/補修/賃借)によって金額が異なります。単身世帯は各金額の3/4。
② 応急修理制度
災害救助法が適用された地域で、被災した住宅の修理費用を自治体が負担してくれる制度です。
③ 災害義援金
国民や企業から集められた義援金が、被害認定の区分に応じて被災者に配分されます。金額は災害の規模や集まった義援金の総額によって異なりますが、全壊のほうが多く配分されます。床上浸水(半壊以上)であれば配分対象になるのが一般的です。
④ 税金の減免・猶予
- 所得税の雑損控除 — 被害額を所得から控除できる(確定申告が必要)
- 固定資産税の減免 — 被害を受けた家屋の税額を軽減
- 住民税の減免 — 自治体によって対応が異なる
- 国民健康保険料の減免 — 被害の程度に応じて減免
⑤ その他の支援
- 災害援護資金の貸付 — 最大350万円の低利融資(年1.5%、保証人ありなら無利子)
- 公営住宅への優先入居 — 住み続けることが困難な場合
- 教育関連の支援 — 学校の授業料免除・就学援助など
床下浸水でも受けられる公的支援
床下浸水は被害認定で「一部損壊」または「準半壊に至らない」と判定されることが多く、国の主要な支援制度はほぼ対象外です。しかし、ゼロではありません。以下の制度は床下浸水でも使える可能性があります。
① 所得税の雑損控除(確実に使える)
自然災害で住宅や家財に損害を受けた場合、被害額の一部を所得から差し引ける制度です。被害区分に関係なく、床下浸水でも確定申告で申請可能です。
- 対象:住宅・家財・衣類・家具など生活に必要な資産の損害
- 控除額:(損害額+復旧費用)− 保険金 − 総所得金額×10%
- 手続き:翌年の確定申告で申請(還付申告なら5年以内)
- 必要書類:罹災証明書、修理の領収書、被害写真など
床下浸水の復旧工事費用(排水・乾燥・消毒・断熱材交換など)は数十万円になることも珍しくありません。これらの費用を雑損控除で申請すれば、所得税が還付される可能性があります。罹災証明書と修理の領収書は必ず保管しておきましょう。
② 自治体独自の災害見舞金
多くの自治体では、独自に災害見舞金の制度を設けています。床下浸水でも対象になる自治体があるのがポイントです。金額は自治体によって異なりますが、一般的に1万〜3万円程度です。
実例として、以下のような自治体で床下浸水への見舞金が確認されています。
| 自治体 | 床下浸水の見舞金 | 備考 |
|---|---|---|
| 秋田市 | 3万円 | 令和5年豪雨 |
| 宇都宮市 | 1万円 | 基礎内側への被害が条件 |
| 熊本市 | 1万円 | 床上浸水(一部損壊)として支給 |
※金額や条件は災害ごと・自治体ごとに異なります。被災後はお住まいの自治体に必ず確認してください。
③ 災害義援金の配分
大規模災害時に集められる義援金は、自治体の判断で床下浸水世帯にも配分されるケースがあります。必ずもらえるわけではありませんが、罹災証明書を取得しておけば配分対象になる可能性が残ります。
④ 災害援護資金の貸付(条件あり)
災害救助法が適用された地域で、世帯主が負傷したり住居・家財に被害を受けた場合に利用できる低利融資制度です。床下浸水でも住居・家財の損害が認められれば対象になる場合がありますが、所得制限があります。
❶ 罹災証明書を申請する — 公的支援の大半で必要。見舞金や義援金の配分対象になるためにも必須
❷ 被害写真と修理の領収書を保管する — 雑損控除の確定申告で必要
❸ 自治体の窓口に相談する — 独自の支援制度がないか確認
「床下浸水だと思ったら床上だった」ケース
ここが非常に重要なポイントです。自分では床下浸水だと思っていても、実際には床上浸水だったというケースは少なくありません。
フローリングの水染み、畳の変色、壁紙の下端のふやけ、巾木(はばき)の水跡——これらの痕跡が少しでもあれば「床上浸水」と判定される可能性があります。床上浸水と認定されれば、受けられる支援が数十万〜数百万円単位で変わります。
また、建物の基礎高によっても判定は変わります。一般的な住宅の基礎高は40〜45cm程度ですが、基礎が高い住宅では地盤面から45cm以上浸水しても床上浸水にならないケースがあり、逆に基礎が低い住宅では浅い浸水でも床上浸水になります。
公的支援を最大限に受けるためにやるべきこと
被害写真を撮る(最優先)
掃除や修理を始める前に、浸水の高さがわかるようにメジャーを当てた写真、被害箇所の全景、壁や床の損傷をできるだけ多く撮影してください。この写真は罹災証明書にも火災保険にも使えます。
罹災証明書を申請する
市区町村の役所に申請します。費用は無料で何枚でも発行可能。被害認定の区分によって受けられる支援が決まるため、正確に被害を認定してもらうことが重要です。
火災保険会社に連絡する
公的支援と並行して、火災保険の申請も進めましょう。公的支援と火災保険は別々の制度なので、両方を受け取ることが可能です。
修理の領収書を保管する
復旧にかかった費用の領収書はすべて保管してください。雑損控除の確定申告で必要になります。
自治体の窓口に相談する
災害見舞金や独自の支援制度は自治体ごとに異なります。窓口に行けば、あなたの被害状況に応じた支援制度を案内してもらえます。
よくあるご質問
国の主要な支援制度(被災者生活再建支援金・応急修理制度)は半壊以上が条件のため対象外です。ただし所得税の雑損控除は床下浸水でも申請可能で、自治体によっては災害見舞金(1〜3万円程度)が支給されるケースもあります。
はい、併用できます。公的支援は行政の制度、火災保険は民間の保険であり、まったく別の制度です。両方をフルに活用するのが被害回復の鉄則です。
ほとんどの自治体で被害発生から1〜3ヶ月以内の申請期限が設けられています。大規模災害時は延長されることもありますが、早めの申請をおすすめします。
被害を受けた年の翌年の確定申告で申請します。還付申告であれば5年以内なら申請可能です。修理の領収書と罹災証明書を保管しておきましょう。
自治体に再調査を申請することができます。1回目とは別の調査員が再調査を行います。被害区分が1段階上がるだけで受けられる支援が大きく変わるため、納得できない場合は再調査を検討してください。
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⚠ 免責事項
・本記事の内容は一般的な公的支援制度を解説したものであり、特定の自治体・災害に基づくアドバイスではありません。
・支援の対象条件・金額は災害の規模や自治体の判断によって異なります。必ずお住まいの自治体にご確認ください。
・自治体独自の見舞金は災害ごとに設けられるもので、常時利用できる制度ではありません。
・支援金額は2024年時点の情報です。制度改正により変更される場合があります。