火災保険・被害写真の撮り方

床下浸水の被害写真の撮り方
保険申請で失敗しない6つのポイント

読了目安:約7分

火災保険の申請で最も重要な証拠は「写真」です。写真の撮り方ひとつで、保険がおりるかおりないか、金額が増えるか減るかが変わります。この記事では、保険申請で失敗しない被害写真の撮り方6つのポイントを解説します。

✦ この記事のポイント

被害写真は「掃除する前に」「全体とアップの両方を」「メジャーを当てて」撮るのが鉄則です。
特に外壁の浸水線は一度掃除すると二度と復元できない最重要の証拠
スマートフォンで十分撮影できますが、撮り方を間違えると証拠として認められないことがあります。

なぜ被害写真がそこまで重要なのか

火災保険の査定は「現地調査」と「提出された証拠資料」に基づいて行われます。保険会社の鑑定人が現地を訪れるのは被害発生から数日〜数週間後。その時点では水は引いていて、被害の最大状況を直接確認することはできません。

つまり、被害が最も大きかった瞬間の状況を証明できるのは「写真」だけなのです。

⚠ 写真がないとこうなる

写真がない=被害の程度を証明できない=保険金が減額される、または対象外と判断される
「確かに浸水したのに、証拠がないから保険がおりなかった」というケースは実際にあります。逆に、適切な写真があれば保険金額が上がることもあります。

撮影前に準備すること&NG行動

被害写真の撮影に入る前に、以下を準備してください。

📱 撮影前の準備リスト
  • スマートフォン(カメラ)
    スマートフォンで十分。充電を確認し、ストレージ(空き容量)に余裕があるかチェック
  • メジャー(巻き尺)
    水位の高さを証明するために必須。2m以上のものが便利。なければ30cm定規でも代用可
  • 懐中電灯
    床下の撮影に使用。スマートフォンのライトでも可だが、別にあると両手が使える
  • 長靴・ゴム手袋
    汚水に触れるため衛生面の対策。必ず身につけてから作業に入る
⚠ 安全が最優先

浸水直後は足元が滑りやすいため、長靴を履き、転倒に十分注意してください。床上まで水が来てコンセントや家電が水没している場合は、漏電の危険があるためブレーカーを切ってから作業に入りましょう。

❌ 撮影時にやってはいけないこと
  • 掃除してから写真を撮る
    → 浸水線が消え、被害の程度を証明できなくなる。最大のNG
  • 写真を加工・編集する
    → トリミングや明るさ調整でも改ざんと見なされるリスク。撮ったままの状態で保存
  • 数枚だけ撮って「これで十分」と判断する
    → 多すぎて困ることはない。100枚でも200枚でも撮っておく
  • スマートフォンの位置情報をオフにして撮影する
    → 日時・場所の記録が残らず、証拠力が弱くなる

【ポイント①】掃除・片付けの前に撮る

これが最も重要なルールです。掃除や片付けは後回し。まず写真を撮ってください。

✦ 鉄則:先に撮る。掃除は後。

片付けや掃除をしてしまうと、被害の程度を正確に証明できなくなります。
どんなに汚くても、どんなに早く片付けたくても、まず写真を撮ってください。
特に外壁の浸水線は、一度掃除すると二度と復元できません。

⚠ 床の上に水の痕跡がないか、最初に必ず確認

床下浸水だと思っていても、1cmでも床の上に水が来ていた場合は「床上浸水」と判定されます。床上浸水は保険の適用可能性が非常に高く、保険金額も大きく変わります。

フローリングの水染み、畳の変色、壁紙の下端のふやけ、巾木(はばき)の水跡など、床の上まで水が到達した痕跡が少しでもあれば、必ず撮影してください。この証拠があるかないかで結果が大きく変わります。

床上に水が到達した痕跡。フローリングの水染みや巾木の水跡が残っている
📷 床上に水が来た痕跡(フローリングの水染み・巾木の水跡など)— 1cmでもあれば「床上浸水」判定。必ず撮影を
掃除前の外壁に残る浸水線と泥汚れ。保険申請の最重要証拠
✅ 掃除前に撮影 — 浸水線・泥がそのまま残っている。これが最重要の証拠
掃除後の外壁。浸水線が消えて被害の程度を証明できない状態
❌ 掃除後に撮影 — 浸水線が消えて被害の程度を証明できない

「早く元に戻したい」という気持ちは当然です。しかし、30分の撮影が数十万円の保険金の差になることがあります。

【ポイント②】外壁の浸水線をメジャーと一緒に撮る

外壁に残る浸水線(水が到達した最高点の線)は、保険申請における最重要の証拠のひとつです。

撮り方

📸 浸水線の撮影方法
  • メジャーを地面から浸水線まで垂直に当てる
    メジャーの目盛りがはっきり読み取れるように撮影する。地面との接点と浸水線の両方が1枚に入るのがベスト
  • 建物の複数箇所で撮影する
    建物の正面・側面・裏面など、最低3箇所以上。浸水線の高さが異なる場合は、最も高い箇所を必ず含める
  • 浸水線が「地盤面からの高さ」だとわかるように撮る
    水災補償の基準は「地盤面から45cm超」。地盤面の位置が写真からわかるようにする
外壁の浸水線にメジャーを垂直に当てて高さを計測している正しい撮影例
✅ 良い例 — メジャーを地面から浸水線まで垂直に当て、目盛りが読み取れる
外壁の浸水線は見えるがメジャーがなく高さを証明できない悪い撮影例
❌ 悪い例 — メジャーがなく、浸水の高さを数値で証明できない
建物の正面・側面・裏面の3箇所で浸水線の高さをメジャーで計測した写真
📷 建物の正面・側面・裏面の3箇所以上で計測。最も高い箇所を必ず含める
💡 45cmのラインを意識する

水災補償の判定基準は「地盤面から45cm超の浸水被害が住宅内にあるかどうか」です。外壁の浸水跡はあくまでも浸水の高さを示す重要な参考資料であり、それ自体が判定基準ではありません。ただし、外壁にメジャーを当てた写真は住宅内の浸水高を裏付ける有力な証拠になるため、必ず撮影してください。
※ 45cmの基準について詳しくは床下浸水の「45cm」とは?地盤面からの測り方と水災補償の基準で解説しています。

【ポイント③】床下の浸水状態を撮る

床下の浸水状態は、保険金額を大きく左右する重要な証拠です。

撮り方

📸 床下の撮影方法
  • 床下収納庫や点検口からスマートフォンを差し入れて撮影
    自分で床下に潜る必要はありません。スマートフォンのフラッシュをオンにして差し入れるだけでOK
  • 広角で全体の状態を撮る
    水がどの範囲まで来ているか、どの程度の深さかがわかる全体写真
  • 浸水部分のアップをフラッシュで撮る
    断熱材の損傷、基礎コンクリートの汚れ、泥の堆積など、被害の詳細がわかるアップ写真
  • 可能であればメジャーを入れて水位を撮る
    床下に水が溜まっている場合、メジャーを水中に入れて水位がわかる写真を撮れるとベスト
床下点検口を開けて上から覗いた床下の浸水状態。泥水が溜まっている
📷 点検口を開けて上から撮影 — 床下に水や泥が溜まっている全体像
床下にメジャーを差し入れて水位を計測している写真
📷 床下の水位をメジャーで計測 — 水深が数値でわかるように撮る
床下内部の浸水到達範囲。奥までどこまで水が来たかがわかる
📷 床下のどこまで水が到達したか — 奥行き方向の浸水範囲がわかる写真
床下の基礎コンクリートに残った浸水線。外壁と同様の重要な証拠
📷 床下の浸水線 — 基礎コンクリートに残った水跡。外壁と同じく重要な証拠

床下は暗いため、フラッシュを必ずオンにしてください。フラッシュなしの写真は真っ暗で証拠になりません。

【ポイント④】被害を受けた設備・部材を個別に撮る

床下浸水で損傷を受けた設備や部材を個別に撮影することで、被害の範囲と程度を正確に伝えられます。

📸 個別に撮影すべきもの
  • 断熱材 — 水を吸って変色・膨張・垂れ下がりがあれば撮影
  • 基礎コンクリート — 泥や汚れが付着している部分
  • 電気配線・分電盤 — 浸水の影響を受けた電気設備
  • 床材・壁材の損傷 — 変色、反り、剥がれなど
  • 家財の被害 — 家財補償の対象になる場合。汚損した家財を撮影
水を吸って変色・垂れ下がった床下の断熱材。交換が必要な被害状況
📷 水を吸って変色・垂れ下がった断熱材 — 交換が必要な被害状況の証拠

【ポイント⑤】周辺の被災状況も記録する

自宅の被害だけでなく、周辺地域の被災状況も撮影しておくと、保険申請で有利に働くことがあります。

📸 撮っておくと役立つ周辺の写真
  • 道路の冠水状態 — 自宅前の道路がどの程度浸水したか
  • 近隣住宅の浸水状態 — 地域全体の被害規模の証明に
  • 河川・排水路の増水状態 — 浸水原因の裏付けに
  • 自治体の災害対応 — 消防車両、排水ポンプ車など公的対応の様子

これらの写真は「大規模な水害があった」ことの客観的な証拠となり、個別の被害主張を補強します。

【ポイント⑥】日時・場所がわかるように撮る

保険会社にとって重要なのは「いつ・どこで撮影されたか」がわかることです。

📱 日時・場所の記録方法
  • スマートフォンのExif情報をオンにする
    位置情報と日時が自動記録される。設定 → カメラ → 位置情報をオン
  • 写真の最初に新聞の日付面を撮る
    デジタルデータの日時に疑義がある場合の補強証拠になる
  • 建物の表札や住所表示を1枚撮っておく
    「この写真が間違いなくこの建物のもの」と証明できる

画像の加工・編集は絶対にしないでください。トリミングや明るさ調整であっても、保険会社から「改ざん」を疑われるリスクがあります。撮ったままの状態で保存してください。

写真を撮り忘れた場合の対処法

「もう掃除してしまった」「写真を撮る余裕がなかった」という方も、まだ諦める必要はありません。

✅ まだ使える可能性がある証拠
  • 外壁に残った浸水線の痕跡
    掃除した後でも、よく見ると変色や汚れの境界線が残っていることがある
  • 床下の泥や汚れの状態
    床下は掃除されずに残っていることが多い。断熱材の変色なども証拠になる
  • 自治体の罹災証明書
    地域全体の浸水状況を公的に証明する書類。保険申請の補強資料になる
  • 近隣住民のSNS投稿や報道写真
    地域の被災状況を裏付ける資料として活用できる場合がある
  • 修理業者が撮影していた写真
    すでに修理を依頼していた場合、施工業者の記録写真を提供してもらえる場合がある

水害復旧の専門業者であれば、残存する証拠を最大限に活用し、保険会社に提出できる形の報告書を作成できます。写真がない=即対象外、ではありません。

✦ 撮影に自信がない方、撮り忘れた方へ

正直なところ、一般の方が完璧な被害写真を撮るのは難しいものです。水害復旧の専門業者に依頼すれば、保険会社の査定基準を熟知したプロが最適なアングル・構図で撮影し、報告書にまとめてくれます。
撮影だけでなく、保険申請の全工程をサポートできるのが専門業者の強みです。

撮影が終わったら — 速やかに清掃・排水を

全ての被害写真を撮り終えたら、衛生面と建物の構造保護の観点から、速やかに次の対応に移ってください。撮影前に掃除してしまうのはNGですが、撮影後にいつまでも放置するのも被害を拡大させます。

🏠 撮影後にやるべきこと
  • 室内の清掃・消毒
    浸水した水は汚水を含んでいるため、放置すると雑菌やカビが繁殖し健康被害につながります。撮影が完了したら速やかに清掃・消毒を行ってください
  • 床下に溜まった水の排水
    床下の水を放置すると、木材の腐朽やシロアリ被害など構造的なダメージが拡大します。被害拡大防止措置として早めに水を抜いてください。→ 床下浸水の水抜き方法|道具・手順・費用を専門業者が写真で解説
  • 外壁の浸水跡は調査完了まで残す
    外壁の浸水線は、保険会社の鑑定人や罹災証明の調査に来る自治体職員が直接確認する重要な証拠です。室内の清掃を優先し、外壁の浸水跡は調査が終わるまで残しておきましょう

ベストな流れは「写真を撮る → 室内清掃・床下排水 → 外壁は調査まで残す」です。

よくあるご質問

❓ 被害写真はいつ撮ればいいですか?

被害発生後、片付けや掃除をする前にすぐ撮影してください。安全確保が最優先ですが、ブレーカーを切り長靴とゴム手袋をつけたら、掃除よりも先に撮影に入ることが大切です。

❓ スマートフォンの写真でも保険申請に使えますか?

はい、スマートフォンの写真で十分です。日時情報(Exif)が残る設定にし、フラッシュを使って明るく撮り、メジャーを当てて水位がわかるようにすれば問題ありません。

❓ 床下の写真はどうやって撮ればいいですか?

床下収納庫や点検口からスマートフォンを差し入れてフラッシュ撮影します。自分で潜る必要はありません。全体の状態、浸水部分のアップ、メジャーを入れた水位の写真の3種類を撮ってください。

❓ 写真を撮り忘れた場合はもう申請できませんか?

完全に証拠がなくなったわけではありません。外壁の痕跡、床下の汚れ、罹災証明書など、残存する証拠を専門業者が活用して申請をサポートできる場合があります。早めにご相談ください。

❓ 写真は何枚くらい撮ればいいですか?

多ければ多いほど良いです。最低でも各ポイントにつき3〜5枚、全体で30枚以上を目安にしてください。100枚撮って使うのは10枚かもしれませんが、撮り直しはできません。

❓ 相談だけでも大丈夫ですか?

もちろんです。「この写真で保険に通るか見てほしい」というご相談も歓迎です。アクサムでは現地調査・お見積もりは無料で対応しています。

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床下浸水の火災保険に関連する情報

公的支援に関連する情報

⚠ 免責事項

・本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の保険商品・契約内容に基づくアドバイスではありません。

・火災保険の適用可否および保険金額は、ご加入の保険商品の内容・被害状況・保険会社の査定により個別に判断されます。

・被害写真の撮影方法は一般的な推奨事項です。保険会社によって求められる証拠資料が異なる場合があります。

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